「……なぁ……杏さ、こっちに戻って来れねーの?」
「…………うん。」
急に杏の表情が暗くなった。
「………明日も逢えねーのか?」
「今日は特別だから……もう無理だよ」
悲しげに微笑む杏…。
「もう一生無理……?」
「………だね。もうこうやって会うことはないよ」
杏の頬を撫でていると、俺の指先が濡れた。
「陸………もっかいギューってして?壊れるくらいに抱きしめてよ……」
「…………ッッ………」
泣きたくなるのを抑え込んで……杏の華奢の体を抱き寄せる。
桃の香りが鼻をくすぐった。
「……陸しゃん温かい……」
杏が俺の首筋に顔を埋めると、ピッタリとくっついてくる。
誰にも邪魔されないような結び付きが欲しくて……さらに隙間がないように抱きしめた。


