地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ


「……なぁ……杏さ、こっちに戻って来れねーの?」

「…………うん。」


急に杏の表情が暗くなった。



「………明日も逢えねーのか?」

「今日は特別だから……もう無理だよ」


悲しげに微笑む杏…。


「もう一生無理……?」

「………だね。もうこうやって会うことはないよ」



杏の頬を撫でていると、俺の指先が濡れた。



「陸………もっかいギューってして?壊れるくらいに抱きしめてよ……」

「…………ッッ………」



泣きたくなるのを抑え込んで……杏の華奢の体を抱き寄せる。


桃の香りが鼻をくすぐった。



「……陸しゃん温かい……」


杏が俺の首筋に顔を埋めると、ピッタリとくっついてくる。

誰にも邪魔されないような結び付きが欲しくて……さらに隙間がないように抱きしめた。