地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ


何か言葉を発するよりも早く、体が動いていた。



「………ちょっと……陸……?」

「…………ッ………」



キョトンとする杏にはお構いなしに、ただ抱きしめる。


あの頃と少しも変わらない。


サラサラの髪も。

柔らかい肌も。

優しい声も。

甘い桃の香りも……。


なにひとつ変わっていなかった。



「しょうがないなぁ………」


小さくクスッと笑うと、俺の背中に腕をまわしてくる。

そのまま強く抱きしめ返してきた。


柔らかくて豊かな杏の胸が当たる。

その胸元からは、静かな心音が聞こえてきた。




「………本当に杏だよな…?」

「……そうだよ。陸が泣いてばっかりいるから、冥界の番人さんから泣き止ませて来いって言われちゃった…」



プニプニと俺の頬を押して遊ぶ。