「……どうしましょう……このままではいつ倒れられてもおかしくありません」
「旦那様に相談してみよう」
「そうですね…………」
シェフの提案で、旦那様に陸様の現状の報告することにした。
「そうか………みんなすまなかったな。私がなんとかしよう……」
電話口での旦那様の声は、疲れており……また悲しげだった。
そして、電話を差し上げた翌日の昼過ぎ……
「失礼いたします」
両手に食材の入った袋を下げて、滝本家に“あの人”がやって来た。
「わたくし…陸さんの夕食の支度に参りました。調理場をお借り出来ますか?」
そう言って……ニッコリ笑うと、陸様のために調理を開始した。