部屋へと向かっていた足を止め、振り返る。
「あら………」
そこにいたのは、長年楠家に仕えている老婆のメイドと、若い……同い年くらいのメイドだった。
「お嬢様。本日より、楠家に仕えることになった新入りです」
「よ、よ、よろしくお願いします!!」
老婆が説明すると、慌てて頭を下げて来る。
「よろしく。…貴女、いくつ?」
「じゅ、17です!」
オドオドとした態度で返してくるメイド。
「あらそう………」
唇に指を当てて、頭からつま先まで眺め回した。
濃いブラウン色の髪で、長さは肩につかないボブスタイル。
身長は160前後ってところかしら。
白黒の使用人用の衣服を身にまとい、黒のふちあり眼鏡を掛けている。