「〜〜〜〜ッ」


やられた。



エスカレーターの方を見ると…


ニコッと笑いながら小さく俺に向かって手を振っている杏。



「……………。」


さらに顔が熱くなった。


口パクで『大好き』。



手を振り返すと、さらに嬉しそうに微笑んだ。



搭乗口の向こうに消えていく杏をいつまでも見ていた。



順調に行けば、明日には帰って来る。

ちょうど学園は休みだし、仕事を早めに片付けて……迎えに来るとするか。




「早く帰って来いよ……杏」



小さく呟いて―…笑みを零す。













しかし。









この空港での杏の笑顔が










俺が最後に見た笑顔だった――。