地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ

携帯で呼び出すと、体育館内まで戻って来る。


体育館後方の隅にいる俺を見つけた瞬間―…

「あ〜〜♪」

パッと嬉しそうな笑顔になり、駆け寄って来た。


『あーもー……可愛すぎる……』

なんて考えていたら――……。



手を広げた俺の傍を通り過ぎ―…後ろにいる咲姉に飛び付いた。



「・・・・・・。」

「咲さ〜ん♪」

「杏ちゃ〜ん♪」


俺に構わず、二人でニコニコと笑い合ってる。



「陸、かわいそうに……(笑)」


咲姉が、クスクスと勝ち誇ったような笑い声を上げて俺を見る。


「あれま…陸いたの?」


キョトンとしてやがる杏。

たった今、俺がいたことを知ったみたいだ。


さっきの笑顔は、咲姉に向けてのモノだったワケね……(泣)