宿題終わるまではしないって決めたよね?

まだ終わってないんですけど?



「陸どいて…まだ宿題終わってない!!」


バシバシと背中を叩いて抵抗した。


すると、陸の体から力が抜け…あたしの上に乗っかってくる。


「なぁ……本当に住まねぇか?」


首筋に顔をうずめて、もう一度問い掛けられた。



その声は……寂しそうな、悲しそうな……さっきみたいなバカ殿様発言ではなく、小さな子供が寂しくて甘えるようなものだった。



「どうかしたの…?」

「………杏がいねぇと悪夢ばっか見る」

「悪夢……?」


言葉を繰り返して呟くと、あたしの背中に腕を回して抱きしめる。



「……甘い桃の香りがするな」


そういうと抱きしめたまま……目を閉じた。