地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ

……陸がいるとは思わなかった。


あまり…屋上は良い思い出じゃないから…ちょっと辛くなりそう…。

本心ではなかったとしても…言われた言葉は覚えてる。



「何かあった?」


俯いていると、上から声を掛けられた。


「……なんでもないよ」


そのまま俯いた状態で返す。


「杏。」

「何……?」

「抱きしめんのも追加される?」


フルフルと首を横に振った。


なんでそんなこと聞くんだろう?と思った瞬間…




「えっ…?」


甘い匂いに、体ごとすっぽりと包まれる。

腕の力を強めて…痛くて苦しいくらいに。



「ここでのこと……思い出したんだよな?」

「……………うん」



陸の胸に顔を埋めて、抱き着いた。