陸が帰る時まで、何故かお父さんは、陸を睨み付けていて……。



帰り際―……。


陸が、コソッとお父さんに耳打ちした途端……


「杏樹は俺のものだァ―――!!」


と家の敷地中に聞こえる声で叫んだ。



「渉より、お義父さんの方が手強いわよ」

と家のお母様がフフと微笑んでて―…。


あたしは状況が把握出来ずに、一人口を開けてポカンとしていた。







陸が渉に耳打ちした言葉は―…。



『あと数年後、必ず杏を嫁にもらいますから。その時は、ちゃんと俺に下さいね。お義父さん?』



ニッコリとお得意の王子様スマイルで言ったのだった。



もちろん、杏樹がそんなことを知るわけはなく―…


「……あたし、結婚出来るかな?…相手居なかったりして……」


ありもしない心配事を繰り広げていたのだった。