おぼんに二つの茶碗を乗せ、キッチンから出て来る。


「食べよっか?」



椅子に座り、食べてみると…

「やっぱ美味いよな」


家で食べるようなシェフが作ったメシよりも、断然美味かった。


『嫁のメシが美味いと、旦那は必ず帰って来る』というのはホントだな。



前に食わされた小森美樹の弁当は、杏のメシに比べたら――…。




「おかわり」

「はいはい(笑)」



メシとみそ汁を注ぎにキッチンへ入って行く杏を見て、こういう光景が一生続いてほしいと思った。




「ごちそうさま」


そう言うと、嬉しそうに「ありがとう」と杏が微笑み、食後用にコーヒーを煎れてくれる。



こんなに、最高の女って…他にいるか?


杏以外絶対いねぇな…。