脱がせた下着やワンピースを元通りに着せて、抱き起こす。

そのまま強く抱きしめられた。


あたしの存在を確かめるような手つきで、頭…顔…背中…腰まで撫で下ろす。


「杏…どこにも行くな」

あたしを撫で下ろす手は、小さく震えてた…。


「どこにも行かないよ……ずっと傍にいるから」



小さな子供みたいな陸を腕いっぱいに抱きしめ返してあげる。



「………約束な?」

「うん……約束」


おでこをくっつけたまま指切りをした。






でも…あとで思えば、霊感の強い陸は、わかってたんだと思う。

これから先……二人が一緒に居られないような出来事が起こるってことを…。


そして…それは、“永遠の別れ”だということを。



「何食べたい?」

「パスタ」

「30分くらい待っててね?」


この時はまだ知るよしもなかった。