「……!」


パチッと目を開ける。

瞬きを数回繰り返した。


目に映るのは、見知らぬ天井と家具…。


「ここ……ホテルだったっけ?」

そうだ。合宿でホテルに来てたんだった。


あたしの周りは、照明が落としてあり…小さな枕元のスタンドが点いているのみ。


えっと……雑鬼に怪我を負わされた陸の手当をして、それから何だっけ?

あんまり記憶がないや……。



ベッドから起き上がり、明かりが漏れている隣の部屋をノックした。


「入っていい……?」

「どうぞ」


いつもの優しい声が聞こえたことに、凄く安心する。



「杏…起きたのか?」


扉を開けると…机に向かっていた陸が、椅子を回転させて、あたしの方を見た。