胸に寄り掛かるモノがある。

それに何だか……静かな寝息が……。




「ハァ……寝てるし………。」


杏はスヤスヤと眠っていた。



そういえば、昼間のビーチの時から『眠たい』って言ってたな。

一瞬で退治したけど……霊力も使ったし……。


「疲れたんだな……」


頬に残る涙を舌で拭い取った。

膝と腋に手をさし入れ、体を持ち上げる。

ゆっくりと静かにベッドへ寝かせた。



あれ…?腕……痛くねぇかも?

ぺたぺたと傷口を包帯の上から触るが、全く痛みがない。


「いつの間に…治したんだよ?」


問い掛けても、返ってくるのは…静かな寝息だけ。



「いつもありがとな、杏樹」

白くて柔らかい頬に、小さなキスを落とした。


「ん゛〜…バーベキュー……」

「・・・・・。」