地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ

野菜を洗い、包丁で切ろうとした瞬間。


フッと微かな妖気を感じた。


「???」

本当に小さな妖気…雑鬼レベルの力しかないくらい。

気のせいかな?と思って、また作業を再開しようとしたが……


「キャー!!!!」

女の子の悲鳴が聞こえた。


「えっ……?」

悲鳴が聞こえた方向に顔を向ける。

周りの生徒達も、悲鳴を聞いて騒ぎ立てた。


「どうかしたの?」

「わかんねぇ…」


あたしのグループの人達も、何が起こったのかわからずに…キョロキョロしてる。



ビクッ………

背中を冷たいモノが駆け抜けた。


「陸…………?」

体を動かしてもいないのに、ネックレスが揺れる。


「柚莉っ…ごめん!これお願いっ……」

「うん。杏樹?」


慌ててまな板に包丁を置き、悲鳴が聞こえた方へ向かった。