その子の笑顔に見とれたまま、


「あ……ヨロシク」


握手をしたが、緊張し過ぎて手の感覚なんてまったくなかった。


「ねえ、顔になんかついてるよ」


その子に言われて顔を触ると、手が赤く染まっていた。


「あれ……?」


怪我でもしたかと一瞬驚いたが、それはよく見ると、絵の具。


なぜかその子の手にもついていて。


「え、あの……」


戸惑うオレに、その子は言い放った。


「バ~カ」


え? え~――?


「じゃ~ね」


茫然とするオレを残して、その子は平然と立ち去った。