伝う玉梓【短編】

僕がこの手紙を持って彼女のもとへ行ったら、最初は二人ともなんて言ったら良いのかわからず沈黙するのだろう。


僕が先に口を開かねばなるまい。


僕が「上手になったね」と言えば、彼女は最初少し驚いて、すぐに笑うのだ。

そして「随分練習したのだから」と悪戯めかして言う。



それから、
忘れていた事を詫びねばなるまい。
そして覚えていてくれたことに感謝をしよう。



そして伝えるのだ。

それでも僕はもう一度貴女に恋をしていたのだと。












あの頃梓を介してあんなにも容易に伝えていた想いを。