カーテンの隙間から差し込んだ光が朝を告げる。 隣にまだ千雨がいたことが少し不思議だった。 目が覚めると消えているのがあたしの予想だったから。 千雨の綺麗な柔らかい髪を撫で、ベッドから出ようとしたときだった。 クン、と何かに引かれる。 振り返ると、まだ寝ている千雨がパジャマの裾を掴んでいた。 その手をほどこうとすると、消えそうな声で「行かないで‥」と呟くのが聞こえた。 「千雨…?」 いつの間に起きたのだろう、千雨は泣きそうな顔であたしを見ていた。