マットの端から体を起こしたとき、植え込みの向こうの通学路が見えた。

五十嵐だ。
今来たのかこっちを見てる。
ちょっと笑ってる?
気のせいだったのかもしれない。遠かったし。

でも、
つい。

「いーがーらーしー」
両手を振って
「跳べたよーっ!!」


登校中の他の生徒が振り返る中、

五十嵐はちょっと間を置いてから
小さく手を振った。