無理だよ。

跳べないよ。


ポールはどこまでも長く。
バーはものすごく高い。


私はそれを見上げる。


怖い…。

怖いよ…。



気が付くと周りには黒い綿達がいて。

バーの向こうには見越がいる。

あぁ。夢なんだ。
そうだ。『見越した』って言わなきゃ…。


ざわ。
 ざわ。

綿達がざわめく。

喉が枯れて声が出なくなる。


『ぜんぜん跳べないじゃん』
『ちょっと足速いからってナマイキじゃない?』
『大人しく走ってりゃ良いのに、なにやってるんだか』
『走りに専念してくれたらもっと速くなるんだろうになぁ』

綿達がざわめく。


やめて!
やめて!!