今日もまたいつものように柏木さんからメールが届く。
朝も昼も夜も飽きずにご苦労なことだ。
私はうんざりした気分で受信したメールをクリックした。

『今晩食事でもどう?』

いつもと違う文面に目が点になる。
…ナンパですか?!

固まっていると隣の席の内線が鳴った。

「はい、代理です」

「あ、オレオレ」

ヘラッとした軽い調子の声に苛ついて詐欺ですか?と返した。
たった一言だけですぐに誰だかわかってしまう自分が悲しい。

「美々ちゃん、メール見ただろ」

「柏木さん、波田野さんに用が
あったんじゃないんですか?」

噛み合わない会話をしながら私はパソコンに目を戻した。
メール画面を閉じてデータ集計の続きに取り掛かる。