ルイの双眸が、絶望したように、揺れる。
あふれた涙が、チャーリーの心を凶暴にする。

なにを、夢見ていたのだろう。
チャーリーが吸血鬼だと知っても、本気で友達になりたいなどと思う人間がいるはずがない。
神に仕える者が、吸血鬼と友達になれるはずがないのに。


「チャーリー。私は」

「よう、俺のこと捕まえたな。すっかり騙されたわ。見せてやるよ。俺の、本当の姿」


チャーリーは目を閉じ、ゆっくりと、開けた。

喉を噛み裂き、鮮血を吸うための、牙。
獣のように縦に瞳孔の割れた、金色の、双眸。

目を見開いて見つめていたルイが、息を飲む。

チャーリーは、ルイに、捕まった。
だから今度は、チャーリーが、ルイを捕まえる番だ。

チャーリーがルイに手を伸ばす。
ルイは、後ずさりながら、後ろ手に持っていた銀色のナイフを、前に出した。