「かわいそうになぁ。こんなに小さいのに、そんなに絶望しとるなんて。
なぁ。君はまだまだこれからや。なんでもできるんや。
まずはひとつ、やってみようか。なんでも言うてみ。願いをかなえたるから。
そうしたら、なんでもできる、って、信じられるやろ」

「……外に、出てみたい」

「なんや、そんなことでええの?」


決してかなわないはずのルイの願いを、青年は拍子抜けしたように、あっさりと受け入れた。
そうして、ルイを片手で抱きよせる。


「しっかり、つかまっててな」


窓が開く。

次の瞬間、ルイは、青年に抱かれて、夜空を飛んでいた。
空中から見下ろす、自分の家。
それはとても小さくて、周りに広がる森や湖は、とても大きかった。

街の、星のようにきらめく光。
海を走る、船の光。

何より、夜の風はとても気持ちよくて、ルイは深呼吸した。

なんて、楽に息ができるんだろう。

これが、外の、世界。