ちなみに、先生にはこの眼鏡のことはヒミツ。

知られたら、絶対に引かれるに決まっているから。


だから、この眼鏡は学校専用なわけ。




「とりあえず、何があったかは知らないけど、柚が勉強する気になってくれてよかったよ」




そう呟いた絵梨にゃんは、「池谷くんとの勉強の邪魔になるだろうから帰る」と言い残し、颯爽と教室を出て行った。


……やっぱり絵梨にゃんは、クールな美少女で、勉強も出来るし、あたしとは違うなあ。

あたしも絵梨にゃんみたいになれるように、勉強頑張ろっと。


そう心に誓ったところで、池谷くんがカバンを持ってあたしの目の前に登場した。


今日も茶色い髪の毛を揺らして、ダルそうにカバンを持つ池谷くんは、「行くぞ」と声を掛けてくる。




「う、うん」



「中間テストの日程も発表されたことだし、今日からはより一層気合いを入れろよ」



「分かってるって!」




ノンフレームの眼鏡のふちをクイッと上げ、早歩きの池谷くんを追いかけた。




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