「へーんなの」



私がちょっとつまらなそうに口を尖らかせて、大地の行った方向からナツを振り返ると、

ナツはひどく真剣そうな顔をしていた。



「そう言えば私さっき先生に呼ばれてたんだっけ。

アヤ、悪いけど先に食べてて」



「え……」



「本当ゴメン。終わったらすぐ戻るから」



「ちょ……ナツー!?

……ったくもう……」



不自然なくらい唐突に、ナツも教室を出て行ってしまって、

私は周りに気取られないよう、小さく溜め息をついた。



ポツンと取り残された私は、キョロキョロと教室内を見渡す。



食べる場所を探してのことだったのだけれど、あいにく皆はグループを作って思い思いの場所でご飯を食べており、

私が食べれるのは自席くらい。



仕方なしに席に座ってお弁当を広げると、

「ねぇ」

という不機嫌そうな声が頭上から降り注いだ。