とろけるチョコをあなたに

「ま、料理が苦手な奴なんかそこらじゅうにいるさ。これから練習してできるようになっていけばいいだけだ」

「……そう言ってもらえて救われた気分だ。料理もできないくせに今まで主面(あるじづら)をしていたのかと咎(とが)められるのが怖かった。
 だが、真に恥ずべきはできない事を隠そうとした浅ましさだ。……その事に気が付けたのは陣のおかげだ」

 全く、変なところで生真面目で変なところで大胆だからこっちは振り回されっぱなしだ。

「バーカ。お前は真面目すぎるんだよ」

 茶化すように絵理の額をつついて、彼女に向かってニッと笑ってみせた。

「ば、馬鹿とは何だ! さすがに言いすぎであろう!」

「はっはっは。悪い悪い」

「人が神妙な気持ちになっている時に限ってここぞとばかりに茶化しおって! そんなに私をからかうのが楽しいか!」

「ま、少なくとも落ち込んでる姿を見るよりは面白いなあと」

「……たわけ。別に落ち込んでなどおらぬわ」

 絵理は口を尖らせてふくれっ面をした。いつもの調子に戻ったようで何より。

 無事なチョコレートを確認してみると、未開封のものが大量に残っていた。どうやら失敗を見越して多めに注文していたらしい。