オレの宝物。それは君の笑顔【完】

約束の時。


休日の、誰もいない教室で、


「香奈ちゃん」


初めて、その愛しい名前を呼んだ。


「ほんとは、オレ、ずっと、こう呼びたかったんだ」


オレが見つめると、香奈ちゃんは困ったように目を伏せた。


「今から南高と試合なんだ。最後に、オレのこと応援して」


せめて最後くらいは、織田じゃなくてオレを応援してほしい。


そんな想いが伝わったのか、


「……うん」


香奈ちゃんは小さくうなずいた。


「試合が終わったらまた来るから、それまでここで待ってて」


そう言い残して教室を出ると。


「ふう~」


オレは深い息を吐いた。