「……私も、柴崎くんのこと……好き」

「え?! じゃあ――」


雪の上の足跡のように寄り添う未来の2人が見えたのも束の間。


「でも。……貴文のこと、まだ、忘れられないから」


さらに降り続く雪に、2人の足跡が消されていく。




……消されて、いく。


織田への想いも、いつか、消える。




いや。


「オレが、忘れさせるから」


香奈ちゃんの肩をつかんだ拍子に、オレの傘が雪の上に転がった。