「信也・・」


「!!!」

まだ上半身裸の俺に後ろから抱き付いてきた・・・


「玲子・・」


俺は焦った・・やばい・・俺は今上半身裸・・・

玲子はバスローブ一枚だけのからだ・・それを背中ごしに感じる・・・

男の本能が動きだしそうだ・・


「やめてくれ・・」

「偶然が今重なったの・・ねぇ・信也・・今夜だけ・・」

玲子が潤んだ・・

「じゃあ・・キスを貴方からの熱いキスを・・昔みたいに・・今だけ・・」


「・・・・」


「信也・・それ以上は望まない・・ねぇ・・」


拒もうとできたのに・・


千佳のあの何も問わないあの姿が頭に浮かぶ・・

千佳は・・こうして玲子と過ごして帰ってきても・・平気な態度なのか?


気づいたら俺は顔に近づけてきた玲子の唇にキスをしていた・・

舌を絡ませる玲子のキスに答えていた・・・



「ガタンっ、」

後ろで何か音がした・・

誰かいる・・

俺は背を向けていて気づかない・・こんなときにホテルのボーイかルームサービスでも来たのか?



普段なら音がしてすぐ振り返るかやめるのに、俺は玲子と付き合ってホテルに泊まるときも従業員がいても平気で大胆な行動をとるくせがあり、そのままキスをくりかえしていた・・愛のない、欲望の・・キス・・

キスを終わらせて振り返ると・・



「!!!!」



俺は信じられなかった・・うそだろ・・なんで!


そこに居たのは・・涙をためていた・・千佳だった・・