千佳にとってあのことは今でもしこりと残っている。


無事に産まれていたかもしれない私の赤ちゃん・・・




何度も涙を流し、忘れようとした出来事。





すべてを忘れることはできていないが、自分と関わったせいで、何もしらないこの人と子供が不幸になったと感じていたのだ。

幼少のころ親を亡くし施設で育った千佳にとってそれは人事ではなかった・・


何より、子供が気の毒に思った。


「お願いがあるんです・・まことさんとお子さんを合わせてくれませんか?」


「え?」

さおりにとって意外なことばだったらしい。