玲子を選んだ?ああ・・あのときキスしたことか・・



「あの晩のことは言い訳にすぎない・・・だけど・・玲子を選んだわけじゃない・・あそこに千佳がくることも・・俺があの部屋で寝ていたのも仕組まれていたことだった・・あとからわかったことだ・・聞いてくれ・・」


俺はあのとき、玲子が酒に薬を入れたこと、まことが千佳をそこに行くように仕組んだことを話した。



「だけど・・キスまでする?あんな熱い・・」


「思い出して、嫉妬したんだ・・」


「えっ?」


「あの夜の数日前、君を町で見かけた・・知らない男性と喫茶店で親しそうで・・俺は君のことを何も知らなくて・・悔しくて・・君に聞きたくても聞けなくて・・僕に対して、君はそれほど興味がないんじゃないか・・玲子とキスして帰っても君は平然としてるんじゃないかって・・そんな浅はかなことを思ってしまったんだ・・・」



「あのとき、会っていたのは幸谷さん、従兄弟よ・・」


「そうだね・・君を探してるときに知ったよ・・従兄弟の幸谷さん・・彼に・・散々怒られたよ・・千佳を大事にしなかった僕には・・もう会うしかくはないとね・・・」





あのとき・・勇気を出して聞くべきだった・・そうすれば・・・