「……梢のことを傷付けたって、兄貴今までに見せたことのないような顔してさ」


「…………」


「なんで結婚なんかしたんだろうって……自分に言い聞かせるように、そう言ってたんだ」


「……奏多が、そんなことを?」


「ああ。……兄貴、梢のことがほんとに大事だからこそ、そう思ったんだと思う」


「…………」