「え?……あっ、なんでもないよ」


私は奏多から目を反らして、布団を握り締めた。




「親父さんのことか?」


奏多がおもむろに口を開いた。




「…………」


でも私は、なんにも言えなかった。




「……やっぱりそうなんだな」


奏多が私をジッと見つめる。




「……うん」