「ア~ズサちゃんっ」

予定通り、大学に入ったのはいい。

美術大学だし、好きなだけ絵は描けるし。

でも……。

「ねぇ、今度一緒に美術展でもいかない?」

「アズサ~、俺と付きあわねぇ?」

「この間のコンクール優勝したんだってね。僕にも君の絵を描かせてほしいな」

………これはうざい。

何でか知らないけど、寄って集ってくる男達。

……ほんと、何?

今は帰ろうとしてるところ。

もうすぐで校門を抜けられるのに、しつこい男達の所為で前に思うように足が進まない。

「アズサちゃん無視しないでよぉ~」

その声が聞こえたのと、横から突然腕を引っ張られたのはほぼ同時だった。

「アズサ遅い」

不機嫌そうなその声に、掴まれた腕から視線を上げた。