「で、返事は?」

……どうせ分かってるくせに。

「…いいよ」

少し離れて呟いたら、アイハラソウタの視線が下に落ちてきて、私はとっさに右手を後ろに隠した。

まだ包帯の取れていない右手。

別に隠したことに意味はなかった。

ただ何となく。条件反射で。

「アズサそれ、」

アイハラソウタの言葉を遮るように私の携帯が鳴った。

「ごめん。……はい」

『あっ、アズサ~??あたしミキだけど。卒業祝いに今から遊び行くんだけど…来る?』

電話の相手は、そんなに離れていない場所にいるはずのミキ。

「ごめん。今日はやめとく」

『そか~。でも元気出たみたいだし、次は断らせないから』

「うん。次は絶対行く」

会話が終わって、パタンと携帯を閉じてアイハラソウタを見る。