「ちょっと、アズサ。あんた大丈夫なの?」

冬休みに入ってから…多分一週間くらい経ったころ。

普段放置主義の母さんが私の部屋に入ってきた。

珍しく心配してくれてる母さんに少し感動する。

母さんが心配して声かけてくるなんて珍しい……

きっと今の私は相当ひどい顔でもしてるんだろう……なんて。母さんのそんな声を聞いても、今の私には自分のことなのに他人事みたいに思える。

ここ3日間くらい。睡眠も食事もろくに取らずに絵を描き続けてる。

「何があったかは知らないけど、ほどほどにね」

静かに私の部屋を出ていく母さんを視界の端に捉えて、また絵に視線を戻した。

もう描かないって言ったのに、頭に浮かぶのは彼の顔。

それをかき消すようにキャンバスを色で埋めていく。

無我夢中で意味もなくて。自分でも何を描いてるのか分からない。