口を開かない彼を連れて、近くにあった公園のベンチに腰を下ろした。

「ちょっと待ってて」

公園の中にある自動販売機ホットのココアを二つ買ってベンチに戻ってきた。

「ココア…でいい?」

「…ごめん。送ってくって言ったのに」

私の手からココアを受け取って溜息を吐きながら俯いた彼。

「別に気にしてないけど」

隣に座りながら私は答える。

一緒にいられるのは嬉しいし。

手に持ったココアを一口飲んだら、冷え切った体が少し温まった。

「……なぁ…それ何?」

飲んだ直後、彼が発した言葉。

彼の見ている先に視線を移すと、そこには私の鞄。

私の鞄からは、私のスケッチブックが見えてる。

あ……、ヤバ……