すでに彼は、私の帰る道を歩き始めてた。

私の腕を掴んだまま。


「何で…急に送ろうと思ったの?」

沈黙を破ったのは私。

こんなわけの分かんないまま黙ってるのは嫌。

「明日から休みだし…」

「だし?」

そこで止められても困る。私にひとの心を読み取る能力なんて無いし。

「分かんない?」

「分かんない」

分かるわけがない。

「……」

真剣な顔をして黙りこんだ彼。

言葉を選んでるみたいな……、そんな顔。

…そのまま直球に言ってくれればいいのに。

私がずっと見てるの気付いてたっていうのだって遠慮なく言ってきたくせに。