「アズサって家どこ?」

「図書館…のほう」

「俺ん家とあんま遠くなさそうだな。帰ろうぜ」

立ち上がった彼はさっさと美術室を出ていく。

私は戸締りを確認して走って後を追いかけた。



「アズサってさ、受験勉強しなくていいの?」

今更……な質問な気がするんだけど。

「まぁ…一応推薦で決まってるようなものだから」

自慢てわけじゃないけど。

「へぇ~すごいんだな、どこ行くの?」


……別に、視線が嫌いとかそういうんじゃない。

特別目立つのが嫌ってわけでもないし。

でも、だからってじろじろ見られるのが好きなわけでもない。


今日はそんなに遅い時間でもないし、外を歩いてる人も少なくない。

心なしか……どころじゃない。

完璧に見られてる。すごい注目されてる。