次の日、まともに授業を受けずに外ばかり見ている私には放課後までの時間が短く思えた。

今日は鞄を持って美術室に向かう。

まだ鍵の開いてない美術室の扉の前。

昨日と同じように黒髪の彼がいた。

「早いね」

これでも私、終わってからすぐに来たのに。

一言呟くように言って扉を開けると彼は私の後から中に入ってきた。


昨日と同じ位置。


私が絵を描き始めると彼は口を開いた。

「なぁ、聞いていい?」

「何?」

「何で俺のこと見てたの?」

…………。

聞かれたのは視線のこと。

唐突に何でって言われても………

「…気になったから」

「いつから?」

「ん~………さぁ?」

自分でも良く分かんないし。