「――――!」

「っ!―――-」


飛び交う声。

教室の窓際で授業を聞いてる私の耳に、外で体育の授業をしてる声が届く。

体育の授業でサッカーをしてるのは2年の男子。

つまらない授業をする先生には目を向けないで、私はサッカーを楽しそうにする1人の男に釘付けになる。


まだ幼さの残る無邪気な笑顔を見せる、黒髪の男。

初めて見たのがいつだったかなんて、もう覚えてない。

高校に入ってからってことは確かだけど。

気がつけば目で追ってる自分がいた。

見かけるたびに、視線が離せなくなった。


名前も知らないけど。

私の手が無意識に動く。

ノートの隅に黒い髪が描かれてく。

私の目が捉えてるのは彼1人だけ。

自分で書いてるのに、私の右手は他人の手みたいに勝手に動く。

彼が外にいるたびに私は彼を目で追ってる。

そして、気付けば絵を書いてる。