「ははは!バッカだなぁ、お前!」
けたけたと笑う草太に一発鉄拳をお見舞いして、鶫は笹丸を慰めた。
「ったく、本当にどうしようもないんだから!」
染はそれを見ながらくすりと微笑んで、
「仲良しだねぇ」
寺の中の1番隅の部屋に、5人は円になって座る。
草太がロウソクを用意するべきだと主張したけれど、誰も相手にしないものだからふてくされてしまった。
じゃんけんで順番が決まり、まず笹丸から怪談が始まった。
「えぇっと…。鶴町(つるまち)の墓地があるでしょう?そこに最近、落ち武者が出るって話があって」
みんなは聞いたことがある話なのか興味が無さそうだが、染だけは身を乗り出してその話を聞いていた。
「それで、その落ち武者っていうのが、こう…ぐわーって襲い掛かってきて、きゃーってなるんだって!」


