気まぐれ妖怪談もどき




「じゃあ今夜、いつもの所で集まろうぜ!」


草太が片手を元気よく上げて提案する。



草太が言ういつもの所とは、毎年この季節にみんなで集まって泊り込む、近所の寺のことだ。

今年来たばかりでわからない染に、豊が説明する。



「夜8時だからな。忘れんなよ」


草太に釘を刺され、5人はとりあえず解散する。




鶫はイライラしたように口をへの字に曲げていて、

笹丸は草太の後ろをおどおどしながらついていって、

豊は肩をすくめてみんなを見ていて、

染は楽しそうに口笛なんて吹いていた。




5人の夏は、まだこれから。