「染、聞いてよ!草太がいじめてくる!」

鶫の言葉を聞いて、聞き捨てならないというように草太も反論する。



「はぁ!?先に手出してきたのはお前だろ!」


笹丸が染の隣にやってきて、背伸びしながらそっと耳打ちする。


「あのねぇ、草太兄ちゃんが怪談したいんだって」


騒がしい中に、涼やかな染の声が染み渡るように広がる。



「いいね、やろうよ。怪談」



「えぇっ」

それを聞いた笹丸は怯えた表情で身を硬くし、


「いいんじゃない?」

事なかれ主義の豊は笑いながらそう言って、


「染までそんなこと言うの!?」

鶫はしかめっ面になり、




「ぃよっしゃあーー!!」

草太はこぶしを振り上げて喜んでいた。