気まぐれ妖怪談もどき




草太もこれには驚いてうろたえる。

豊が非難の視線を投げかけて、


「あーあ。草太、泣かせた」

「泣かせたー」

「兄ちゃんが泣かせたー」


豊に続いて、染と笹丸もじろりと草太をにらむ。

「な、何だよ!俺は悪くねぇぞ」


何だか体裁が悪くなり、草太は口をもごもごさせている。


「草太ぁ…」

鶫が涙をポロポロこぼしながら、草太に抱きつく。


鶫以外の4人が、飛び出しそうなぐらい目を丸くした。

その中でも1番驚いていたのは、やはり草太だ。


「え!?おい、ちょ、鶫?」

離れようとしてもなかなか離れない鶫にオロオロしてしまう。

いつもはこんな奴じゃないのに。

それをちょっとかわいいと思ってしまう自分もいたりして、草太は本当に参っていた。