気まぐれ妖怪談もどき




鶫も笹丸にひっついて、小さく震えている。


「ねぇ、草太。染の言うとおり、本当に今夜出ると思う…?」


『何が』出るのかはっきりと口にしないあたり、彼女も相当怖いのだろう。

自分の目の前に妖怪が現れるかもしれないということを仄めかした染の怪談は、内容に反して異常に怖かった。


「…っ知るかよ」


普段とは打って変わって弱気な鶫にかける言葉が見つからなくて、悩んだ末に言えたのはそれだけだった。



妖怪が出てこられないように夜中起きていようと決心していたが、そんなことはできるはずもなく、3人はそのうちぐっすりと眠ってしまった。