気まぐれ妖怪談もどき




そしてその夜。


豊と染の話を思い出して、草太と鶫と笹丸の3人はなかなか眠れずにいた。

寺から布団を拝借し、それぞれがその温もりに包まれている。


夏だというのに、寒気が背筋から離れない。

今日が特別寒いわけでも、風邪をひいているわけでもない。


言うまでも無く、あの怪談のせいだった。



「草太兄ちゃぁん、怖いよぉ」


笹丸が草太の側まで近寄っていき、すすり泣く。


「えぇい笹丸、泣くな!男だろ」


男だから泣くなというのも無茶な話だが、笹丸が泣いているおかげで草太は何とか兄の面目を保つことができていた。


正直言って草太も、かなり怖いのだ。

今立ち上がれと言われたら、足が震えて立てないだろう。