気まぐれ妖怪談もどき




染が言っていた「面白い怪談」とは何なのか、4人は興味津々だ。


「俺が知ってるのは、枕返しっていう妖怪の話」

いたっていつも通りの話し方に、みんな少し気が楽になる。


だから、口を挟むことも容易にできた。

「枕返しぃ?何だそりゃ」


首を傾げる草太に染が整った顔で微笑みかけ、

「簡単に言うとね、寝ている人の枕を足側に置いていく妖怪」


妖怪というから、人食いだとか憑依だとかもっと怖いものを想像していたが、話を聞く限りではちっとも怖くない。


「ちっとも怖くないでしょ?でも…」

みんなの心の中を代弁したように染が言い、それからにやりと怪しげに微笑む。


その綺麗さも相まって、ぞくりと鳥肌が立った。





「今夜、やって来るかもよ」