気まぐれ妖怪談もどき




怖がりかけたみんなが、興ざめだとでも言いたげにため息をつく。

実体験ということと、草太の語り口調がいつもと違うこともあって、期待した方が間違っていた。


これには笹丸も失望した顔つきで、


「兄ちゃんかっこ悪い…」

とつぶやく。


弟にかっこ悪いと言われる兄ほどかっこ悪いものはない。

草太はぐさりと胸に突き刺さる一言をもらって、さっきとは別の意味ですっかり無口になってしまった。



「それじゃあ次は、俺の番だね」


張り切っていた染がずいっと前に進み出て、口を開く。