気まぐれ妖怪談もどき




話している本人は興奮しているが、わけのわからない擬音が多すぎてさっぱり想像ができない。

話し終えた笹丸をみんながあたたかい目で見守っていると、


「こ…、怖くなかった?」


しょんぼりと笹丸がそう言うので、全然怖くなかったと言える雰囲気では到底無かった。

「うん、すごく怖かった…かな」


豊の頼りないフォローが入ったが、兄に似て単純な笹丸は、それだけで充分満足そうだった。



次は鶫の番。


「この前、近所のおばあさんから聞いたんだけど…」


怪談を嫌がりながら、この日のために鶫はしっかり怪談を仕入れていたらしい。

笹丸よりは期待できそうだと、豊も耳を傾けている。



「草太の家の前に、井戸があるでしょ。そこに、出るらしいのよ」

「ひぃぃ!」


まだ最後まで話し終えないうちから、笹丸は怖がっている。