─私は、妖怪はいないと信じております。

だが、

そう信じたいだけなのかも知れませんね。

和尚は、そう呟くと、咲重郎の瞳を見た。

澄んだ、奥深い色をしていた。

しかし、

その美しさの内に、何が潜んでいるのか。

終に、咲重郎には悟ることができなかった。